司会ナレーションの注意事項~歌手に気持ちよく歌ってもらう
「司会者のこだわり」第33弾です。
今回は何を教えてくれるのかな?
今回は前回の続きで、「ナレーションで気を付けること」をお話しします。
- 語尾を上げるのはNG
- 感情を入れすぎるのはNG
- 歌に重なるのはNG
- 客席回りの時はNG
前回の記事
ナレーションの注意事項
意識して語尾を落とす
気を付けること?
前回は、ナレーションの作り方を、主に説明しました。
今回は、そのナレーションを読む時のことを、説明します。
ただナレーション原稿を読むだけでしょ?
いえいえ。
ただ原稿を読むだけでは、ナレーションの意味がありません。
感情表現や抑揚を使って、歌の世界にお客様を引き込まないといけませんからね。
分かりやすく説明してよ
たとえば語尾の落とし方です。
語尾?
前回使ったナレーションの例をもう一度使いましょう。
愛しちゃいけない人だけど
あなた一筋どこまでも
苦労七坂乗り越えて
ついていきます
この世の果てまで
これの語尾って?
各行の最後の文字です。
「だけど」「までも」「越えて」「ます」「まで」が語尾に当たります。
落とし方っていうのは、どういうこと?
語尾が上がってはいけません。
話し言葉では「~だけど、~で」と、語尾が上がって話すのが普通です。
ふんふん。「~だけど・・・~で」
ホントだ。上がるわね
しかしナレーションの時は、語尾が上がると、落ち着きがなくなるのです。
落ち着き?
ナレーションは、ズシッと心に響くものが望まれます。
演歌の歌は重厚な世界観が多いですからね。
そのため意識して、語尾を上げずに落とすようにしないと、上手に表現できないんです。
語尾を落として、ね
「~だけど・・・~で」
あれ?できてない
意外に難しいぞ!
普段から語尾を落とすことは、あまりないでしょうからね。
地味に技術が必要なナレーションです。
感情を入れすぎるのはNG
詩を読む感じなんだし、感情はガッツリ入れた方がいいの?
演劇のように?
それも難しいところです。
感情を込めてナレーションを言うのは当然ですが、感情を入れすぎてもいけません。
なんで?
それは、歌が主役だからです。
いつも言っていますが、司会者は黒子です。
ナレーションも同じく、歌を引き立たせるために存在するんです。
感情を入れすぎると歌より目立っちゃうの?
歌が始まったら、聴衆は歌に夢中になりますけどね。
ですが始まる前に、歌手に集まる視線を司会者が奪ってしまってはいけません。
ナレーションをがっつり聴く人が少しだけいて、他の大多数の人は流し聞きで歌手の歌が始まるのを待つ。
この感じが理想です。
バランスが難しいね!
場数を踏むしかありません。
精進しましょう。
歌に重なるのはNG
今説明したように歌手の方が主役なので、当然ですがナレーションが歌に被ってしまってはいけません。
歌に被る?
イントロの長さを間違えた時に起こり得るのですが、ナレーションを喋っている間に、歌のメロが始まってしまうんです。
歌とナレーションが重なっちゃうわ!
そうなると、歌手を引き立たせるどころか、大失敗です。
お客様からしたら、何を言っているのかも分からなくなります。
あちゃー。ちゃんと練習しないから
前回も言いましたが、歌をよく知らずに、急きょナレーション原稿を作ることがあります。
その場合でもリハーサルで合わせられればいいのですが、時間がなくてぶっつけ本番になることも、まれにあります。
ぶっつけ本番だと、合わなくても仕方ないわね・・・
ですがお客様からしたら、ぶっつけ本番かどうかは関係ありません。
ナレーションを言いながら、耳で歌のイントロを集中して聞きます。
すると、なんとなく歌が始まりそうなところが分かります。
途中のナレーションを省略して、最後のフレーズを言うか。
そもそもナレーションを途中で打ち切るか。
臨機応変に判断しますが、いずれにしろ、絶対に歌には被らないようにします。
ナレーションを読みながらイントロを聴いて、タイミングを計るの!?
音感がないとできないわ
歌に被らないのは当然としても、ナレーションが終わった直後に歌が始まることがあります。
ギリギリ、ナレーション原稿を読み終わった時に、そうなりやすいですね。
冷や汗ものだ
実はプロの視点から見ると、これだと失敗も同じなんです。
歌と被ってないのに?
ナレーションが終わった後に、歌手が一呼吸おいて、歌に入る間隔が必要なんです。
歌手が歌いやすい環境を作るのがナレーションですから、タイミングはシビアに考えないといけません。
客席回りの時はNG
最後にもう一つ、音楽番組では絶対にない、生のショーならではの注意点も紹介しましょう。
どんなの?
それは、客席回りの時にナレーションを入れない、ということです。
客席回り?
ディナーショーや歌謡ショーでは、歌手がステージから下に降りて、お客様のところを歌いながら回ることがあります。
その客席を回る時は、ナレーションを入れてはいけないんです。
なんでだろ?
それは、歌手がお客様と話すところを邪魔してしまうからです。
お客様と話す?
客席を回っている間は、歌手との距離が近いからか、お客様も気軽に歌手に話しかけます。
そして歌手はそれに応えて、握手をしながら会話をするのがお決まりです。
それをナレーションが邪魔しちゃうの?
前奏の間も、お客様は関係なく話しかけますからね。
そして話しかけられたら、歌手もマイクを通して返事をします。
すると、司会者がナレーションを言うことで、歌手と声が被ってしまいますね。
それだと歌手が引き立たないわ
なので客席回りの最中は、ナレーションはよほどの決め歌の時しか、基本的には入れないんです。
まとめ
- 語尾を上げるのはNG
- 感情を入れすぎるのはNG
- 歌に重なるのはNG
- 客席回りの時はNG
「ナレーションで気を付けること」についてお分かりいただけたでしょうか?
よく分かったよ!
ただ詩を読むだけじゃなくて、奥が深いのね
以上
「司会ナレーションの注意事項~歌手に気持ちよく歌ってもらう」でした♪