「勉強ができる人」が「教え上手な人」ではない!特徴を紹介
「正しい勉強の仕方」第83弾です。
今回は何を教えてくれるのかな?
今回は「『勉強ができる』=『教えるのが上手』ではない」ことについて、お話しします。
- 『勉強ができる』=『教えることが上手い』ではない
- 教え方が下手な人を紹介
- 教え方が上手な人を紹介
『勉強ができる』=『頭が良い』ではない
『名プレーヤー』は『名コーチ』ではない
前回は「『勉強ができる』=『頭が良い』ではない」と、お話ししました。
今回のブログも、前回と似たような「勉強ができるからこそ生まれる誤解」を解くのが、主な目的です。
誤解ってことは……
勉強ができる人は、教えるのが上手じゃないの?
いえ、もちろん教えるのが上手い人もいます。
ですが中には、感覚で理解しているために、人に教えるのに不向きな人がいます。
スポーツで言うと、「名プレーヤーが名コーチではない」ということです。
でも学校では、勉強できる人が周りに教えてることが多いよね
それは、周りの人が勉強のできる人に教えてもらいに来るから、です。
誰だって、詳しい人に教えてもらいたいですよね。
分からないことをインターネットで検索するのも、詳しい人の発信する情報を得るためですし。
言われてみれば……
しかし、詳しい人やできる人が、全員教えることが上手なわけではないんです。
学校で勉強を教えてくれる友達は、教えるの上手いけど
それは、教える間に上手くなっていくからです。
人に教えることで、自分の知識が定着しますし、何度も教えれば教え方も上手になってきます。
学校の先生が良い例です。
そういうものなのね
一般にも浸透している誤解
でも世の中には、人に教えないで自分だけ勉強してきた人もいます。
さらに言うと、どれだけ人に教えても上手にならない人もいます。
そんなこと言って大丈夫!?
やっていけば、ある程度は上手になりますけどね。
やはり、向き不向きがあります。
私が塾講師をしていた関東のとある有名進学塾では、大学生のバイト講師を採用する時に、東大と早慶は無条件で合格でした。
そのため、いざ教壇に立ってから、人に教えるのが不向きだと気付く人がいました。
こういう方は、長続きせず辞めてしまいます。
それは、塾側も子どもも、本人も可哀想ね……
私は北海道在住なので、北海道大学に通っていた人と会うことが多いものですから、似たような誤解はたくさん見ました。
塾や予備校に行かせられないお母さんが
「うちの子どもの勉強を見てあげて!○○さんしか頼りがいないのよ~」
と、北大出身者にお願いするのです。
でも、それ分かるなぁ
大学に限ったことでなく、小学校や中学校でも、成績優秀な年上に勉強を見てもらうのをお願いすることは多いですよね。
しかしこれは先に話した通り、『本人のステータスだけで教えるのも上手い』と誤解しているのが発端です。
当たり前の光景なのに、勘違いが元になっているのね
教えることが下手な人
例題:「優しい」を説明
じゃあ、どんな人が教えるのが上手い人なの?
そうね。向き不向きって言われても、具体例がないと分からないわ
それでは、まずは教えるのが下手な人の例から紹介しましょう。
下手な人!?
上手い人を聞いたのに……
私が考案した方法で、どんな人でも教えるのが上手いか下手か、すぐに分かります。
へー面白そう!
どんなの?
ある単語を説明してもらいます。
その単語は、その時に目の前にある物でも、何でもいいんですけどね。
それでは今回は、抽象的なお題にして、「優しい」を説明してもらいましょう。
まずはロジャー君から、お願いします。
えっと……なんか、良い感じで、人や動物に優しいこと!
では続いて、ジーナちゃん、お願いします。
一緒にいると穏やかになれる、フワワ~~って感じ!
2人とも、ありがとうございます。
どう?分かりやすかったでしょ!
自信あるわ!
残念ながら、二人とも、教えるのが下手な人ですね!
えーっ!ダメ!?
ウソ!伝わると思うんだけど
まず、ロジャー君から指摘しましょう。
説明文の中に説明する単語
「優しい」という単語を説明するのに、「優しい」という単語が説明文に登場しています。
……え?ダメなの?
「優しい」が誰でも分かる言葉だから伝わりますが、これが例えば「コリオリ偏差」を説明する時ならどうでしょう?
コリオリ!?何て!?
「『コリオリ偏差』とは、体積流量の測定で用いる『コリオリ偏差』のことだよ」
と言われても、何の説明にもなってませんよね?
全然意味が分からない……
つまり、言葉を説明する時にその言葉を使ってしまう人は、教えるのが下手な人となります。
擬音を使う
そしてジーナちゃん。
「優しい」を「フワワ~~」と表現しています。
分かりやすいでしょ!
それは、あくまでもジーナちゃんの感覚であって、万人に共通するものではありません。
えー!そうかなぁ
野球のボールの投げ方を教えてもらう時に
「グッと持って、グワンと振りかぶって、ビュッと投げる」
と言われても、さっぱり分かりませんよね?
わ、分からないわ……
つまり、説明文が擬音だらけになってしまう人は、教えるのが下手な人となります。
自分の説明を補助する用途で擬音を使うのが、上手な使い方です。
同じ説明を繰り返す
何かを説明した時に、教えられた側が分からなくてもう一度、説明を求めることがあります。
この時、全く同じ説明をしてしまう人は、残念ながら教えるのが下手な人です。
もう一回、同じことを喋るのはダメなんだ
最初の説明を聞き漏らした人がいたら、しょうがなくない?
そういう場合は別ですが、内容が理解できなかった人に対しての説明で、二度同じことを言うのは意味がありません。
例えば「1+1=2」が分からない子どもに
「だから!1+1は2なんだよ!」
と何度言っても、理解できるわけありません。
あ~……それはそうだね
この点については、教えるのが上手な人で詳しく紹介しますが、言葉の言い換えができない人は、教えるのが下手な人になります。
- 説明する単語を使う
- 擬音を使う(例外あり)
- 同じ説明を繰り返す
「優しい」を説明する模範解答
自分が下手だなんて、思ってもみなかったよ
私も……。ちょっとショック
大丈夫ですよ。
誰かに何かを教える時に、下手な教え方をしないで上手な教え方をするように気を付けていれば、すぐに上達しますから。
下手な教え方は聞いたけど……
上手な教え方はまだ聞いてないわ
それをお話しする前に、先ほど問題で出した「優しい」を説明する模範解答を紹介しましょう。
下手な教え方として紹介した、「説明文に説明単語を入れない」「擬音ばかりを使わない」の二点に気を付けます。
「優しいとは、思いやりがあって親切で、他者に良い印象を与える心のこと」
こんな感じでしょうか。
う~ん、見事だね
でも、なんでわざわざ「心のこと」なんて付けたの?
それは、「優しい」にも色々あるからです。
「優しい声」だったり、「環境に優しい」だったり、同じ言葉でも意味が少し異なります。
たしかに!
自分が説明したい的を絞るため、「心のこと」と付けました。
端的に言うなら
「優しいとは、思いやりがあって親切なこと」
だけでも構いません。
そっちの方がスッキリしてて分かりやすいわ!
教えることが上手な人
同じ内容を言い換えて表現
知らない単語は人それぞれ
ここからは、教えるのが上手い人を紹介しましょう。
いくつも言い換えができる人は、間違いなく教えるのが上手です。
言い換え?
カタコトの外国人に何かを教えたことはありますか?
道案内とか?
何でもいいんです。
一度経験すると、私の言っていることが、よく分かるでしょう。
どういうこと?
相手は外国人なので、知っている言葉と知らない言葉があります。
そのため、通じる単語と通じない単語があります。
こちらにはそれが何か分からないので、色んな表現をしてあげるんです。
「終点」と言っても伝わらなければ、「最後の駅」と言います。
「親切な人」と言っても伝わらなければ、「優しい人」と言います。
なるほどね!
実はこれは、外国人に限ったことではありません。
他人に物を教える時には、全て共通する話なんです。
そうなの?
もちろんです。
同じ日本人であったとしても、人によって知っている言葉に違いがあるのですから。
あ!そっか!
教えられる方は、分からないことを教えられているので、知らない言葉があれば余計に理解しにくくなります。
教える側は、少しでも相手のボキャブラリーにヒットするように、言葉をいくつも言い換えると理解されやすいです。
なるほどねー
前述の「優しい」の説明でも、「思いやり」と「親切」という単語に置き換えて表現しています。
ちゃんと気を付けてたのね
様々な言い換えができる人は、教えるのが上手な人だと、断言してよいでしょう。
擬音や比喩も使いこなす
実は、教えるのが下手な人で紹介した「擬音を使う」も、様々な言い換えができる人が使えば、上手な教え方になります。
どういうこと?
色んな言い換えの一つとして、擬音を使えば良いのです。
先ほど例に出した、野球のピッチングで言うと
「振りかぶった後は、腕をしなる竹のように、ビュッと勢いよく振り下ろす」
と言えば、擬音を使いつつも説明できてますね。
擬音を相手に伝わりやすくする、一つの例にすればいいのね
擬音とは違いますが、相手に分かりやすい例えを駆使するのも大事です。
様々に表現できる比喩を使いこなす人は、教えるのが上手な人に当てはまります。
指示代名詞を使わない
説明する時に指示代名詞を使う方が多いですが、これは上手な教え方とは言えません。
指示代名詞?
「これ」「あれ」「こっち」「そっち」などのことです。
日常生活ではよく使いますね。
教える時に使ったらダメなの?
ダメなことはありませんが、使う頻度に気を付けないと、聞いている方は「何がこれ」で「どれがあれ」なのか、さっぱり分からなくなります。
「こっちとはどっち」で、「あっちとはどっち」なのか?
考えている間に説明が進むので、話の内容も理解できません。
分かる気がするけど……
つい、使っちゃうわよね
説明だけでなく、日常会話でも自分が話している時に、気を付けてみてください。
意識したら、意外とクセを直せますよ。
ちなみに、お笑い芸人やタレントで話が上手な人は、自然とこの指示代名詞も気を付けて喋ってます。
意識して指示代名詞を使い分けられる人は、教えることや話が上手な人です。
自分の話を相手に聞いてもらいたい時には、注意してみましょう。
相手の立場で説明できる
物理的な立場
相手の立場になって表現できるのも、教えるのが上手な人の特徴でしょう。
相手の立場?
まず、物理的な立場です。
右と左。前と後ろ。手前と奥。
誰かと話す時は、相手と対面していることが多いです。
自分から見た向きでなく、相手の視点から物事を教えられると、相手はすごく分かりやすいです。
逆向きに言われると、すぐに理解できないものね
とは言っても、言うは易く行うは難し。
簡単なことに見えて、難しいことです。
うん……僕は苦手かな
大丈夫です。
優れた空間認識能力がなくとも、常日頃から意識して話せば、自由自在にできるようになります。
意識し過ぎて、ちゃんと話せなくなりそう
精神的な立場
そしてもう一つ。
今度は、精神的に相手の立場に、立ちましょう。
精神的に?
相手にとって何が分からないのかを、教える側もしっかり把握していないと、上手く説明できません。
それはそうよね
これは勉強を教える場面で、実際によくあることです。
教えられる側は分からないことだらけで、自分が何が分からないかも、分からない。
しかし教える側は、相手が分からないところをハッキリ言わないので、何が分からないかが分からない。
なんか滅茶苦茶だね
滅茶苦茶ですよね。
ですが、小学生の子を持つ親御さんが勉強を教えると、頻繁にこのような事態が起こります。
大変じゃない!
親から変わろう
ちょっとだけ脱線しますね。
親は「小学生の勉強くらいは分かる」と思って教えるのですが、人に教えるプロではないのですから、教え方が上手くありません。
「教え方が悪い」なんて思いもしないのが普通ですので、親は次第に、理解できない子どもが悪いと腹を立てます。
うわ~……
「こんなことも分からないの?」
なんて、一番言ってはいけないセリフですね。
「分からない自分が悪いんだ」と追い込まれた子どもは、勉強が嫌いになります。
可哀想……
この問題は、教える側が教えられる側の立場に立たないと、いつまで経っても解決しません。
まずは親から変わりましょう。
- 言い換えができる(擬音や比喩も)
- 指示代名詞を考えて使う
- 相手の立場になれる(物理的にも精神的にも)
まとめ
- 『勉強ができる』=『教えることが上手い』ではない
- 教え方が下手な人を紹介
- 教え方が上手な人を紹介
「『勉強ができる』=『教えるのが上手い』ではない」ことについてお分かりいただけたでしょうか?
よく分かったよ!
人に教えるって、簡単じゃないのね
教えようという気持ちがあれば、必ず上達しますよ!
そして未熟でも、その思いは相手に伝わるものです。
よーし!僕もドンドン人に教えていこっ!
あんたが何を教えられるのよ
え?オススメの面白いマンガとか……?
「教える」意味が違う!!
以上
「『勉強ができる人』が『教え上手な人』ではない!特徴を紹介」でした♪
※過去に公開した記事を編集・再構築しました