ナレーション自宅収録の一番良い環境とは~音響監督に相談~
今回はナレーションについてお話しします。
導入
以前にもこのブログでお話しさせていただきましたが、私は自宅で収録できるように、録音機器を持っております。
それがこちらです。
この『ZOOM H6』は4、5万円するので一般の方は手を出しにくいですが、使えば納得。
プロも認める性能です。
この機械は素晴らしものですが、使う人がよく理解していないと、良い音は録れません。
そう。
私はよく理解していませんでした。
良い機器を使えば、勝手に良い音で録れると思っていたのです。
ということで今回のブログは、『私が最初に自宅で録音した時の、音声の品質管理での失敗談』をお話しします。
自宅でのナレーション録音
初めての経験~試行錯誤
自宅収録の、ナレーションの仕事をいただきました。
まず、原稿と映像が送られてきます。
スタジオで収録する時は現場に映像が用意されているのですが、自宅収録ですからしっかりと映像も、送ってもらわないといけません。
自分で全ての作業を行うので、映像を再生するパソコン操作と、録音する機器操作の必要があります。
しかし最初さえミスなく行えば、あとは『映像を見ながら原稿を読む』という、いつもやっていることです。
こんな感じで、張り切って収録しました。
※コンプライアンスの関係で映像は隠しております。
周りをマットで囲っているのは、音の反響を考慮してのことです。
以前にテレビで、ユーチューバーが紹介していたのを覚えていました。
この感じで録音したのを自分で聞いてみたのですが、なんか「ブツブツ」とノイズが聞こえるんです。
はて?
と少し考えた末に、どうも手で持っているからノイズ音が入っているようだ、と気付きます。
そこで、録音機器を手で持たず、机に置くことにしました。
しかしただ机に置いただけでは、マイクに向かって喋りにくい。
そこで、色々な台の上に乗せて試してみた結果が、こちら。
ティッシュボックスが、一番ピッタリきました。
録音機器が滑り落ちないように、キーボードと3DSで反対側から押さえています。
「ブツブツ」の音が聞こえなくなったので、これで試作品を録り、先方に送りました。
一発OKだったりして!
とワクワクしていた私の鼻っ柱は折られます。
タメになるご指摘
音響監督は、良い音を創るのがお仕事。
さすがプロです。
私が気付きもしなかったことまで、指摘してくださりました。
ざっと挙げただけでも、これだけあります。
この一覧を見て、内容を全部理解できます?
私はほとんど理解不能でした(笑)
ヒスノイズとは
『ヒスノイズ 』だけ説明すると、「マイクの近くに電子機器があるために発生するノイズ」のことです。
上の写真ではマットで隠れて分かりませんが、机の上にデスクトップパソコンの本体を置いておりました。
マイクの超至近距離に電子機器がある状況なので、録音データにはヒスノイズが入っていた、ということです。
理解してから録音したものを聞き直すと、自分でもハッキリ分かるほど、ヒスノイズが発生していました。
音響監督の指示で録音環境を改善
物理的に改善
分からない言葉をネットで調べつつ、上の収録風景の写真を送って見ていただいたところ、「ティッシュの箱は音を響かせるのでよくない」と言われました。
他にも色々ダメ出しがある感じでしたので、もう全てを見てもらった方が早いと判断し、ビデオ通話で私の収録部屋を全部見てもらいました。
部屋の壁の材質。
パソコンの置き場所。
録音機器の設定。
何から何まで全部、良い録音環境を作れるように、教えてもらったんです。
先方が忙しいから、私がスタジオに行かなくてもできる自宅録音で仕事を頂いたのに、ほとんどつきっきりで面倒をかけてしまいました。
結果がこちらです。
ちょっと隠す部分が大きいですが、ご容赦をお願いします。
色々と変わりましたね。
一つずつ説明しましょう。
反響を防ぐために、マットを横だけでなく上にも設置し、周囲を塞ぎました。
マイクはカメラの三脚を使って固定することにし、机との接地面にはバスタオルを敷きました。
机の上からモニター以外の不要な物を排除し、パソコン本体は机の下に置きました。
なんと。
たったこれだけでも、音質が大きく変わりました。
あれほどうるさかったヒスノイズが軽減されたんです。
完全になくなったわけではないんですけどね。
あとは仕上げの時に、プロの音響監督が調整してくださるので、問題ないレベルです。
録音機器『ZOOM H6』の設定
そして録音機器『ZOOM H6』の設定もいじりました。
まず『低域カット』を「185Hz」に。
80Hz~237Hzの間でカットできるのですが、色々試した結果「185Hz」に落ち着きました。
『リミッター』を「スタジオ録音」に。
『録音フォーマット』を「WAV48kHz/16bit」に。
最後の最後まで音響監督さんと試行錯誤したのがこの項目でした。
この録音フォーマットとは、録音する時の音質のことで、一般の人が聞きなれたものだと「MP3」とか「AAC」があります。
この設定を、ずっと一番良い音質にして録音していたのが、思わぬ落とし穴でした。
誰だって、高音質なら良い音になると思いますよね?
それが、違ったんです!
その考えは、周囲の環境が整っていればこそ。
スタジオでもない私個人の部屋では、拾いたくない雑音まで録音されていたのです。
雑音と言っても、誰かの話し声や、物音が入っているわけではありません。
普段生活していたら聞こえないような、ノイズを拾ってしまっていたということです。
先に結果を話しましたが、今説明したことを音響監督さんがふと思い立ち、録音フォーマットを上から4番目の品質にしました。
すると途端に、ノイズが消えてクリアに聞こえるようになったのです。
『音質を下げる』という、まさに逆転の発想でした。
ちなみに、音質を下げると言っても、録音機器が良い物ですから、十分良い音で録音されています。
そもそもこの『ZOOM H6』の、18個ある録音フォーマットの上から4番目ですから、悪い音のわけがありません。
まとめ
このように様々な改善案を実行した結果、良い品質で録音データを先方に届けることができました。
ブログをご覧になった方はお分かりの通り、全ては先方の音響監督さんのお陰なんですがね(笑)。
いやはや、足向けて寝れませんよ。
これだけ教えていただいたのですから、ギャラをもらうどころか、講習料としてお金を払わないといけませんね。
こうした大恩は、良い仕事をすることで、お返ししているつもりです。
これからも、良いナレーションでお返ししていきます!
以上
「ナレーション自宅収録の一番良い環境とは~音響監督に相談~」でした♪